仕事帰りや休日の夕方、スーパーでの買い出しを終えて、ヘトヘトになって帰宅した後。重たい荷物を広げて食材を冷蔵庫にしまう作業は、一日の終わりには少しハードな時間ですよね。
特売のお肉や旬の野菜、「これがあれば便利かも」と買った食材が冷蔵室に入りきらず、「とりあえずここなら入るから」と冷凍庫の隙間に押し込んでしまった経験は、きっと誰にでもあるはずです。
いざ料理をしようと冷凍庫を開けても、カチカチに凍った霜だらけの袋が出てきて、「これ、いつのお肉だったかな?」と不安になってしまったり、目的のものを探すために手前のものを全部出さなきゃいけなかったり。
管理しきれない量になってしまうと、かえって日々の料理が億劫に感じてしまうこともありますよね。
この記事では、一人分の食事を作る際にも無理なく続けられる、食品ストックを増やしすぎないための冷凍庫の付き合い方についてご紹介します。
食品ストックを増やさない冷凍庫運用の基本

冷凍庫の扉を開けたとき、食材がぎっしりと詰まっていて、「どこから手をつけていいかわからない……」と途方に暮れてしまうことがあります。
でも、それはあなたがズボラだからではなく、単に「入れ方のマイルール」が決まっていないだけなのかもしれません。
まずは、冷凍庫という場所をどう使うと心地よいか、基本的な考え方を少しだけ見直してみましょう。
冷凍庫を「保存場所」ではなく「一時保管」と考える
買ってきた食材を冷凍庫に入れるとき、「これを入れておけば腐らないから安心」「いつか食べるから大丈夫」とホッとすること、ありますよね。
しかし、その安心感が逆に「今は使わなくていいや」という先送りの気持ちを生んでしまい、結果として食材が長い間眠ったままになってしまうことも少なくありません。
冷凍庫はあくまで鮮度を保つための「待機場所」であり、食材も少しずつ変化しています。
そこで、冷凍庫を「ずっとしまっておく場所」としてではなく、「数日後に食べる出番待ちの場所」と考えてみるのはいかがでしょうか。例えば、「来週の水曜日に使うお肉」「週末のご褒美用の魚」というように、使う予定がなんとなく見えているものだけを入れてあげるイメージです。
「保存しなきゃ」と気負うのではなく、「少しの間だけ預かっていてね」という感覚に変えるだけで、自然と「早く使ってあげよう」という気持ちが湧いてきやすくなります。
中身が常に動いている状態を目指すと、詰め込みすぎも防げるようになりますよ。
一人分を基準にした冷凍量の決め方
大きめのパックに入ったお肉や、丸ごとの野菜を買ってきた際、疲れていると「あとで使うときに考えよう」と、パックごと冷凍庫に入れてしまいたくなるもの。
でも、これだと、いざ一人分のご飯を作ろうとしたときに、必要な分だけ取り出せなくて困ってしまったり、解凍に時間がかかって料理へのやる気が削がれてしまったりすることも。
また、一度解凍したものを再冷凍するのは味も落ちてしまうので、結局使い切れずに「ごめんなさい」することになってしまうのは悲しいですよね。
食材を冷凍する際は、未来の自分が少しでも楽できるように、あらかじめ「一回の調理で使い切れる量」に分けておくのがおすすめです。例えば、お肉なら1回の炒め物に必要な100g程度ずつ、野菜ならスープ一回分に使う量など、「私の一食分はこのくらい」という感覚で小分けにしてあげましょう。
お茶碗一杯分のご飯、一食分の魚の切り身といった単位で包んでおけば、料理のたびに量る手間もありませんし、必要な分だけサッと取り出せます。
入れてよい物・入れない物を先に分ける
「冷凍できるものはなんでも冷凍しておこう」と考えて、不安だからと何でもかんでも冷凍庫に詰め込んでしまうことはありませんか。
しかし、冷凍庫のスペースには限りがありますし、パンパンになりすぎると冷えが悪くなってしまうこともあります。
すべての食材を冷凍庫に頼るのではなく、「これは入れない」と決めてあげるのも、心の負担を減らすひとつの方法です。
例えば、こんな風にゆるくルールを決めてみるのはどうでしょう。
- 3日以内に使い切る予定の肉や魚は、冷蔵室(チルド室)に入れておく
- それ以上予定が空く場合や、週末まで持ち越す場合だけ、冷凍庫へ移動させる
また、豆腐やこんにゃく、水分の多い生野菜(レタスやきゅうりなど)は、そのまま冷凍すると食感が変わってしまい、「思っていたのと違う……」となってしまうことも。
これらは無理に冷凍せず、食べきれる分だけを買うか、冷蔵で早めに美味しくいただくようにすると、冷凍庫の貴重なスペースを圧迫しません。
「冷凍庫に入れるのは、どうしても食べきれないものだけ」と決めておくと、気持ちにも余裕が生まれます。
冷凍庫の中身を増やさない入れ方・分け方の手順

冷凍庫の中身がごちゃごちゃしていて何があるかわからないと、探すために庫内をかき回してさらに散らかったり、同じものをまた買ってしまったりと、悪循環になりがちです。
ここでは、パッと見て中身がわかり、かつスペースも無駄なく使えるような、ちょっとした入れ方のコツをご紹介します。
全部を完璧にやる必要はありませんので、できそうなところから試してみてくださいね。
冷凍前に行う分量調整と小分けのルール
買ってきた食材をパックから出して、そのまま袋に入れて冷凍してしまうと、空気が入って霜がついたり、変色してしまったりすることがあります。
時間が経つと中身が何かわからなくなってしまい、「これ、なんだっけ……?」と首をかしげることになってはもったいないですよね。
冷凍する前のほんの少しの気遣いが、後のおいしさと使いやすさにつながります。
先ほど決めた「一回分」の量に食材を分けたら、ラップで優しく包み、さらに冷凍用の保存袋に入れて空気を抜きます。
食材が布団にくるまっているようなイメージで密着させると、乾燥や酸化を防げます。
このとき、マスキングテープなどに「豚バラ肉 100g」「202X.10.15」といったように、中身と日付を書いて貼っておくと、後から見たときに迷子になりません。
野菜であれば、使いやすい大きさにカットしてから冷凍しておくと、凍ったままお鍋に入れるだけでいいので、忙しい日の心強い味方になってくれます。
平らに揃えて入れる配置の基本
小分けにした食材を冷凍庫に入れるとき、袋が丸まったままだったり、形がいびつだったりすると、庫内で場所を取ってしまい、うまく収まらなくてイライラしてしまうことも。
これを防ぐためには、「平らにして凍らせる」のがポイントです。
冷凍する最初の段階では、金属製のトレイ(バット)などの上に保存袋を乗せて、手で優しく押さえて空気を抜きながら、できるだけ薄く平らな状態にして冷凍庫に入れましょう。
もし金属製のトレイがなくても、アルミホイルを敷くだけで大丈夫です。
平らな板状に凍らせることで、厚みが揃ってスッキリ収納できますし、薄くすることで早く凍るので、食材のおいしさも逃げにくくなります。
解凍するときもムラなく熱が通るので、一石二鳥ですよ。
中身が重ならない並べ方の考え方
冷凍庫の底の方から、いつ冷凍したかわからない化石のような食材が出てきて、悲しい気持ちになったことはありませんか?
これは、食材を上へ上へと積み重ねてしまうと、どうしても起きてしまう現象です。
上に新しいものを置くと、下のものが見えなくなり、存在を忘れてしまうのは仕方のないこと。この問題を解決するためには、本棚の本を整理するときのように「立てて並べる」のがおすすめです。
平らに凍らせた食材を、立てて収納することで、上から見たときにすべての食材の端っこが見えるようになります。これなら、「あ、ここに豚肉があるな」「こっちはご飯のストックだ」と一目でわかりますよね。
食材が減ってくると倒れやすくなるので、ブックスタンドや100円ショップのケースなどを活用して、倒れないように支えてあげると、出し入れもスムーズです。
使い切る流れを止めない冷凍庫の使い回し方

きれいに収納できたとしても、そこから食材を使って循環させていかなければ、いずれまた一杯になってしまいます。
食品ストックは、入れて終わりではなく、出して美味しく食べてあげるところまでがワンセット。
ここでは、無理なく使い切って、新しい食材を気持ちよく迎えるための流れを作るヒントをご紹介します。
冷凍した物を使う順番を固定する
冷凍庫に同じ種類の食材がいくつかある場合、どれから使うか迷ってしまい、つい手前にある新しいものから使ってしまうこと、よくありますよね。
そうすると、古いものがいつまでも奥に残ってしまい、気づいたときには……ということも。これを防ぐために、食材を取り出す順番のルールを、自分なりに決めておくと楽になります。
例えば、「新しい食材は左側に入れて、使うときは右側から取り出す」というように、ところてん式に流れるようにしてみるのも一つの方法です。
あるいは、手前に古いものを置いて、奥に新しいものを入れるというルールでも良いでしょう。
「ここから取れば一番古いもの」と迷わずに判断できる仕組みを作っておくと、いちいち日付を確認して悩む必要がなくなり、料理の準備が少しスムーズになります。
調理前・調理後で分ける簡単なゾーン分け
冷凍庫の中には、これから料理するお肉や魚だけでなく、作り置きのおかずや、余ったご飯、冷凍食品、保冷剤などが混ざってしまうこともあります。
これらがごちゃ混ぜになっていると、献立を考えるときに「何が使えるのか」がパッとわからず、疲れてしまいます。
そこで、冷凍庫内をざっくりと「素材ゾーン」と「すぐに食べられるゾーン」に分けてみるのはいかがでしょうか。
「素材ゾーン」にはお肉・魚・カット野菜などを、「すぐに食べられるゾーン」にはレンジで温めるだけのご飯やおかず、冷凍食品などを入れておきます。
こうしておくと、「今日は時間があるから素材から料理しよう」「今日は疲れているから、こっちのゾーンから温めるだけにしよう」と、その日の気分や体力に合わせて選ぶことができます。
厳密に仕切る必要はありませんが、なんとなく場所が決まっているだけで、在庫管理がぐっと楽になります。
取り出しと戻しを同時に完結させる使い方
料理中に冷凍庫から食材を取り出すとき、必要なものだけをサッと取ってすぐに扉を閉めたいのに、なかなか見つからなくて焦ってしまうこと、ありますよね。
冷凍庫を開けている時間が長いと、温度が上がって他の食材に霜がついたり、溶けてしまったりする原因にもなります。
また、慌てて取り出すことで、せっかく並べた食材が崩れてしまうことも。
食材を取り出すときは、ついでに「明日の朝のお弁当用のおかずも手前に出しておこうかな」とか、「ちょっと倒れそうだから直しておこう」といった具合に、「取り出す」ついでに「ちょこっと整理」をしてあげると効率的です。
また、買い物から帰ってきて新しい食材を入れるタイミングで、古くなった食材を手前に移動させるなど、セットで動く癖をつけると、改めて「片付けの時間」を取らなくても、きれいな状態を保ちやすくなります。
冷凍庫を軽い状態で保つための見直しポイント

どんなに気をつけていても、いただきものをしたり、特売で買いすぎたりして、どうしてもストックが増えてしまう時期はあるものです。
そんなときは無理をせず、定期的に冷凍庫の状態を見直して、詰め込みすぎない「余裕のある状態」に戻してあげましょう。
中身を把握するための確認タイミング
一度冷凍庫に入れてしまうと、扉を閉めれば中身が見えなくなるので、記憶だけで全部を把握しておくなんて無理な話です。
ふと気づいたときに「挽肉が3パックもあった!」「冷凍うどんがまだ残ってた!」なんていう重複買いを防ぐためには、定期的に中身をチラッと確認するタイミングを作ると良いですよ。
例えば、週に一度のゴミ出しの前日や、週末の買い物に行く直前など、無理のないタイミングで冷凍庫を覗いてみてください。
「そろそろこれを使い切っちゃおう」「来週はこれをメインに献立を考えよう」と在庫を確認することで、無駄な買い物を減らせます。
また、買い物リストを作るついでに、スマホのメモ帳に「今あるもの」を書き出しておくと、スーパーで食材を選ぶときに迷わなくて済みます。
使い切れなかった物の扱い方を決めておく
定期的にチェックをしていても、冷凍庫の奥から賞味期限が切れてしまったものや、いつ冷凍したか思い出せないものが出てくることは、誰にでもあります。
そんなとき、「私ってダメだなあ」と自分を責める必要はありません。「今回は使い切れなかったけれど、次は買う量を減らしてみよう」と、次のヒントにすればいいのです。
古くなってしまった食材については、色や臭い、冷凍焼けの状態を確認し、不安がある場合は無理に使わずに処分するという判断も大切です。
あるいは、月に一度くらい「冷凍庫の食材を一掃する日」を作って、カレーやシチュー、スープ、炒飯など、色々な食材をまとめて使えるメニューで美味しくいただくのも楽しいですね。
冷凍庫の中身がリセットされてスペースが空くと、心までスッキリしますよ。
冷凍庫が埋まり始めたときの調整手順
もし冷凍庫のスペースが8割以上埋まってきたなと感じたら、それは「今は買い物を少し控えても大丈夫」というサインかもしれません。
冷凍庫がいっぱいのときは、新しい保存食を買うのを一旦お休みして、今あるものを優先して食べる「在庫整理ウィーク」にしてみるのもおすすめです。
冷凍庫に空きスペースが見えてくるまでは、冷蔵庫にある生鮮食品と、冷凍ストックだけで献立を考えてみます。「冷凍庫のお肉と、冷蔵庫の残り野菜で何ができるかな?」と、パズルのように楽しんでみるのも良いでしょう。
また、冷凍庫の写真を取ってChatGPTなどのAIに献立のアイデアを出してもらう、というのも面白いと思います。
そうすることで、一時的に食費を抑えることもできますし、冷凍庫の中身もリフレッシュされます。
空間にゆとりができると、冷気の循環も良くなり、何より「あるものを大切に使い切った」という事実が、日々の暮らしの小さな自信につながるはずです。


